雨上がり

日々の気づき

濡れたアスファルトを私のスニーカーが規則正しいリズムで触る。

ここ何日かで一気に涼しくなった。

秋の高い空に浮かぶ雲を眺めながら、駅に向かって歩く。

イヤホン中毒の私が音楽をかけ忘れるには充分、美しい空だった。

曲がり角を曲がり、空き地の前に出る。秋の虫がとりどりに、でも朝だからか優しめに鳴いている。いつもはすれ違わない黒い柴犬を連れたおばあさんとすれ違う。おばあさんは犬を見ながらもう1人のおばあさんと世間話をしている。四つの目が小さな動物をみとめて、優しく笑っている。

その様子を見て思わず私も微笑む。犬を連れたおばあさんと目が合い、ほんの少し会釈する。

私は歩き続ける。

信号を渡る。渡った先では低学年くらいの小学生が、信号待ちで座っている。そんなアスファルトに直に座っておしりが冷たくないのかとちょっと心配になる。

T字路を曲がる。ここから先は緩い坂だ。伸び放題のエノコログサ、よく出来たペットボトルの手作り風車、風はなく、それらは大人しく朝の陽光を纏っている。足元には黄色い落ち葉が僅かに落ちている。

ここからは濡れていると滑りやすい。気をつけながら道を渡る。

駅に着いた。

素敵な朝だ。

なのに、どうしてか心が晴れない。

悩んでいても仕方がないと、普段は何かと楽観的な私が、ここのところ落ち込んでいる。

特に深刻な悩みがある訳でもないのに。

自分の本気でやるべきことが見えず、焦りが募っている。でもそれだけにしては落ち込み過ぎだ。

これが世に言う更年期というやつなのだろうか…?!

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