目標があれば〜素人による介護記録⑩〜

家族の闘病

金曜日の夜、相変わらず普通に自分の部屋で寝ていいと言われたので、私はお言葉に甘えて普通に就寝していた。

異変は、土曜早朝に起こった。妹が突然、私が寝ている寝室のドアを(ノックも無しで)開けたのだ。

「ねーちゃん、父さんの脈が弱くなってきた…。近いかもしれない」

私は飛び起きて、妹と共に父のいる部屋に向かった。そこには母もいて、半ば呆然と父の傍に立っている。私は呼びかけた。

「父さん」

反応はない。本当にない。苦しそうとかも、ない。

今にも亡くなりそうな人がこんなに穏やかなことがあるのだろうか? 私は不思議に思った。

十数年前に父の母である祖母を看取った時、彼女は亡くなる寸前まで大きく息をしていた。何年もずっと寝たきりだったのに、随分アグレッシブな呼吸だなぁ…と思っていたが、まるで死神が鎌で魂を刈り取ったみたいに、ある瞬間にふっ、とそれが収まり、亡くなった。

2年前にセキセイインコのカイを看取った時、彼は死の直前まで、見たことないくらい目を見開き、私の手の中でものすごく苦しそうに暴れていた。20分ほど苦しむ姿を一人見守って、「こんなに苦しませるくらいならいっそ楽にしてあげてほしい」と私が願ったほんの数秒後に、こと切れた。

そういうわけで、父の様子は、私の知っている(数少ない)瀕死の生物の様子とはかけ離れたものだった。

死の間際になったら、もっと苦しそうにしたりするのだろうか…? そうだったら可哀想だな…と私は思った。それから、一番大事な用事を父に伝えた。

「父さん、あと3時間くらいしたら、〇〇が帰ってくるから。会ってあげてよ。だから、それまで頑張って」

そう、週末のこの日は、真ん中が帰ってくることになっていた。

父は、目標があればそれに向けて頑張れる人だ。今回の退院ではっきりした。だから…「生きて真ん中に会う」、という目標ができれば、持ち直す。そんな気がした。

巻き添えで起きてきた旦那さんなんて、「あの父さんが〇〇に会わずにくたばるなんて絶対有り得ない。〇〇が来るまでもう1回寝る」と、さっさと寝てしまった。

旦那さんは(私と違って)怠け者ではない。寝るための言い訳でなく本当にそう思ったのだろう。凄い信頼だが、私は流石にちょっと呆れた。何せ、「もう危ない」と、他ならぬ医療従事者が言っているのだ。

その看護師二人組は「父さん今までありがとうモード」に入りかけている。私は素人だから分からないが、流石に真ん中は間に合わないのかもしれない。

ここまで来てそんな…と悔しくなるが、こればかりは仕方がない。我々が決められることではないのだ。

…しかし、その後。

妹「なんか…落ち着いたね」

母「落ち着いた…よね」

なんと、数値が昨日とほぼ同程度に回復!!

真ん中に会わずに逝くような父ではないと私も思ってはいたが…まさか、本当に持ち直すとは😂

「あの状態から持ち直す人、初めて見たわ…お父さんを家に連れてきてから、初めてのことがいっぱい」看護一筋20年の妹にそう言わしめた父。やっぱり半端ないな、この人は…!

その後、真ん中は無事我が家に到着した。

私はずっと父の所にいたので、家族LINEで長男が駅へ迎えに行ったことを知り見に行くと、真ん中は久しぶりの再開に喜んだ旦那さんと、兄弟たちと居間でいつまでもお喋りしていた…😑

「〇〇お帰り。でも、まずおじいちゃんに会ってあげてよ😅💢」

「はーい」みんなで父の所にぞろぞろ。

なんて呑気な奴らだろう😂じーちゃんが今、生きてるの、当たり前じゃないからな!! こっちは間に合わないかとハラハラしたっていうのに!

かくして真ん中は無事に父と対面。普段から淡々とした子なので、ショックを受けるとか取り乱すとかいう様子はなく(まぁ父の様子はLINEで共有してたし)、何度か父に話しかけ、後は父の傍でみんなで雑談。

父の反応はないが、うちの三兄弟の会話を聞いているに違いない。「おぅ〇〇、ちゃんと帰ってきたか」と、喜んでいるはずだ。良かった…。本当にそう思った。

家族みんながいて、会話が聞こえてくる。それが、父の望む「家」だと思う。それが今、達成された。

さぁ、後は父が、どれだけこの家で過ごすことができるか、だ。

私に出来ることは(相変わらず)少ないが、悔いが残らないようベストを尽くすぞ!

⑪に続ーーーく!!!!!

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